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猫虐待犯の検挙

時間が止まったようでした。目の前の男はゆっくりと身をかがめ、足元に転がる太い木の枝を拾い、何度か握り直すように手を動かしながら、「叩いた」 「猫」とつぶやき、認めたからです。


半ズボンにスニーカーのあどけない姿から高校生を思わせましたが、返ってきたのは「21」という数字。ところどころに長い沈黙を挟み、置き場のない視線をあちこちに向けながら、その成人男性はぽつりぽつりと口を開き始めました。あそこの自転車で来た。実家暮らし。働いてからきた。猫が嫌い。嫌いになったきっかけはない。公園にいるいろんな猫たちを叩いた。そのために公園にくる。もう何年もやっている。自分がやったことが犯罪だとは知っている。どういう犯罪の種類かは知らない。もうやらないとはいえない。その場から1ミリも動かないよう伝えながら即110番、微塵も迷わない通報でした。


できるかぎり丁寧に、できるかぎりロジカルに問いかけても、その男がなぜ自身に何も危害を加えない公園の猫たちへ虐待行為を行うのか、その明確な理由はまったく分からない。ほかの質問にはぼそりと言葉を返すが、その問いにだけはほんの少し首を傾げるようにして固まってしまう。まるで理屈の道すじがぽっかり抜け落ちているようでもあり、普段の生活の中で自分が無意識にやっている習慣を思い起こし、それらを行う理由を初めて考えてみているような、そんな様子でもありました。あるいは、近所のコンビニまで向かう途中、道ばたに小石が落ちていたから蹴りながら進んだ。まるでそんなふうに、一見無邪気であるようで、しかしながら、正常な思考が巡っているとは思えない。


気の毒なのは猫たちである。地域猫活動で通っているため、顔見知りの子たちばかり。人知れず長い間いじめられ、殴られ、言葉では訴えることができなかった小さな命を想うと何ともいえぬやり切れなさ、強い憤りが腹の底から湧きおこる。


傾いていた日が落ちるころ、パトカー、原付が到着。男がこの公園で解放されることがないよう依頼していた大型の警察車両も続いて到着する。ここで事情聴取を終えてから、犯人は虐待をするために乗ってきた自転車と共に自宅へ搬送されていくわけである。警察から一連の事情を説明された男の家族たちは、そこでいったいどのような反応を示すのだろうか。もしも、その突然の知らせがそこまで大きく彼らを揺さぶらなかったとしたら、いや、それ以前にこのような虐待行為を行いながら、のうのうと自宅まで帰ることができるこの国の現状も少しばかりどうかしているのではないか。


そして、最後にもうひとつ、周囲に対して自身の身の危険を知らせるためにも、今回のような緊急事案を目の当たりにしてしまった場合のためにも、防犯ブザーは必ず携帯すべきではないかと思います。地域猫活動を行っている方々も、まだ携帯率はさほど高くないように感じおり、今回、もし仮に目撃者が女性であった場合、虐待犯は動かぬように言われても立ち止まらなかった気がしてなりません。


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